パソコンと古文書解読

第30話  コピーの仕方


コピー機(PPC複写機)なしの古文書の勉強は考えられませんが、昔はどうしていたのでしょうか。
図書館などでは、本の複写をします。また、古文書(原本)から直接コピーすることはほとんどありませんが、写真版を元にしてコピー機を使い、(古文書研究会の)テキストを作ります。ときには、少部数の“本”をコピー機で印刷します。安上がりです。
「コピーの仕方」は誰でも知っている通り「原稿を機械にセットしてボタンを押すだけ」……、その通りですが、使い易い形で資料を作るには、その出発点のコピーから留意する点(ノウハウ)がいくつかあります。

【本のコピー】
資料として図書館で本のコピーをします。これを「ScanSnap(自動給紙方式スキャナー)でパソコンに取り込み、OCRでPDFにして利用します。また、製本して本棚に並べます。
@ コピー機原稿台のコーナーと本の隅を合わせてコピーすると、左右の頁の境(ノド)が紙のセンターからずれて、二つ折りにすると同一頁が表裏に分れることがあります。本のノドを紙の中心に合わせて置きます
A 本のノドがガラス面から離れるため、その部分が黒く写ります。機械の「濃度調節」を「薄く」すると多少は良くなります。
B 利用する本のほとんどは見開きA4版です。大きな版は縮小して、原則としてA4版の用紙にコピーします。プリンターやスキャナの規格がA4版であり、規格を統一すると色々と便利だからです。
「ScanSnap」はA4版原稿なら読取ります。見開き2頁を1枚に複写したものを、半分に折って表裏2頁として読取ると、「原稿の傾き補正」が楽になり、PDFの頁数と本の頁数を一致させることもできます。

【テキストのコピー】
古文書研究会のテキストを沢山印刷するには、印刷機よりコピー機の方が便利で安上がりです。印刷するファイル(PDF)をUSBメモリーに入れて、コピー屋さんに持ち込みます。PDFなら外字を使った文書でも、文字化けの心配がありません。しかも、いきなりコピーするので、版下を作る手間も省け、にじみのないきれいな印刷ができます。

@ Adobe Reader の印刷設定には便利な機能が沢山あります。「ページサイズ処理」で「サイズ」を選ぶと、「ページ設定」で指定したサイズの用紙に印刷できるのは当然ですが、「合わせる」にすると、用紙のサイズに合わせて拡大印刷もきます。
A 「複数」を選ぶと、複数のページを1枚の用紙に印刷することができます。2ページ分を「右から左」に並べると、印刷代が半分ですみます。ただ、大きな用紙に印刷しても、この「複数」には、紙の大きさに「合せる」機能がないため、文字を拡大して印刷することはできませんが、2頁を結合することはできます。
そこで、まずこの「複数」を使い、例えば、A5の2頁を結合して、「ページ設定」でA4にして、プリンターを「JUST PDF3 制作」に指定、《印刷》すると、A4の2頁を結合したPDFができます。(PDFファイルを再度PDFファイルに変換したことになります)。これを@の設定で実際に紙に印刷(コピー)すれば、文字の拡大も可能です。
話がややこしくなりましたが、Adobe Reader で「印刷」を2度します。最初の「印刷」では2頁を結合し、次の「印刷」で実際に紙に拡大コピーする訳です。

【本を作る】
本を印刷するのも Adobe Reader のおかげで大変楽になりました。「ページサイズ処理」で「小冊子」を選ぶと、両面印刷は勿論のこと、頁組みも鮮やかにやってくだます。ただしこれも、紙の大きさに「合せる」機能がないため、文字を拡大して印刷することはできません。最初から原稿の用紙サイズを使う紙の規格に合わせて作成する以外にはなさそうです。

  

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