パソコンと古文書解読 |
第1話 エディタとワープロ |
文書を作るには「ワープロ」ソフトを使う。「テキストエディタ」なんか聞いたこともない、という人が沢山います。そんな人は、ワープロとともに、是非エディタも使ってみてください。
エディタとワープロは、ともに文書を作成するソフトです。
エディタ(「WZ Editor」や「秀丸」など)は、元々プログラムを作成するために開発されたソフトです。その際には、文字情報(例えば「文字」という情報)だけあればよく、装飾機能(文字のポイント・フォントの指定など)は不必要で、ソフトの起動や文字の検索・置換などの編集操作が高速であることが要求されました。この軽快な操作性に目を付けたプログラマーが文書作成にも使用してきた経緯があります。
これに対して、ワープロ(「Word」や「一太郎」など)は装飾機能を活用して「見栄えのいい」文書を作り、印刷することができる「重厚長大」な“万能”?ソフトです。
ワープロだけを使う友人Aさんにエディタの使用を勧めて、次のような例え話をします。
「エディタは小回りのきく軽自動車で、ワープロは大型トラックのようなもの。近所の買物は軽自動車に限ります」、と。すると、「大は小を兼ねる」と反論します。
そこで仕方なく、エディタは、レイアウトや修飾情報を持たない、純粋に文字のみで構成されるプレーンテキストを取扱うので、
出来たファイルは、どのOS、どのソフトでも扱える汎用性・普遍性がある。(「一太郎」文書は「一太郎」がないと読めない。)
従って「100年後も確実に読める」だろう。(ワープロ専用機「OASYS」で作ったフロッピーが沢山あるが、簡単には読めなくなってしまった!)
ファイルサイズが小さく、ソフトのサイズも小さいので、故障も少なく、ハードディスクで場所も取らず、第一、高速な操作が可能である。
と、「理詰」で説明すると、また反論が返ってきます。
「一太郎」は持っているので「一太郎」文書が読めないことはない。
100年後には、あの世にいるので、読めなくても構わない。
印刷所に原稿を入稿するのに「テキストファイル」を使うというが、その予定はない。
機械が高性能になったので、遅くて困ることもない。
あらかじめ「エディタ」で文章を作り、それを「ワープロ」で見易い体裁に変えて印刷するという、そんな面倒なことはしたくない。
「ワープロ」で充分……と宣う。
なるほど、そのような反論もあるだろうと思います。
パソコンで何をしたいのか、何ができるのか、パソコンとはなにか……。
我が友人Aさんにとって、パソコンとはワープロのことであり、ワープロは綺麗な印刷物を作る道具である。紙こそが最高の記録の媒体である、ということなのでしょう。
このWebページで、パソコンは単なる印刷機ではなく、情報処理の有力な武器であることを具体的に示す以外に、Aさんの考えを変える方法はなさそうです。
詳しくは、『テキストファイルとは何か?』(鐸木能光)をご覧ください。
なお、パソコン用語でわからないものがあれあば、オンライン辞典「IT用語辞典e-Word」で調べて下さい。私の「お気に入り」です。