古文書解読の練習にとって、コピー機(PPC複写機)は必需品です。コピー機のなかった頃はどのようにして勉強していたのでしょうか……、想像することもできません。「コピー機樣々」です。 テキストのほとんどは紙にコピーされた形で入手します。そのときA4版のサイズにコピーしてもらいます。この大きさなら一度にスキャナーでパソコンにそのまま取込むことができますし、製本して本棚に並べることも簡単です。 最初の仕事はページを記入することです。ナンバリングかゴム印を使います。手書きだと、元からの記事かどうか、区別がつきません。 次の仕事はスキャナーを使って文字(画像)をパソコンに取込みます。これなら、保管の場所をとりませんし、どこに置いたかと、探しまわることもありません。文字が小さくて読みにくいのなら拡大してディスプレーに表示できます。読めない文字をコピーし、くずし字辞典の文字と並べて比較することも簡単です。USBメモリーに入れてコピー屋に行き、コピーすることもできます。 私のよく使うスキャナーはEpsonの GT-8300UF
です。2002年頃発売?の古い機種ですが、モノクロでの読み取り速度(600dpi)は
2.1msec/line
で、現在店頭に並んでいるものより早くスキャンします。オークションで安く入手しました。EpsonはWindows7やWindows8用のドライバーソフトを提供していませんが、GT-9300UF用のドライバーが代りに使えるそうです。「この機種はGT-9300UFです」と教えると、見事パソコンが欺されますので痛快です。その方法は次のURLに詳しい説明があります。 スキャナーを使う時は、私は「読んde!ココ」を起動させ、「AI Smart Scan」を使います。活字本のスキャンの場合は、モードは「白黒」、解像度は「400dpi」の設定で動かしますが、古文書の場合は「グレー」モード、300dpiの解像度でスキャンします。「白黒」モードにすると、白か黒かに決めてしまい、ハーフトーンがなくなります。そのため、墨の濃淡が消えて、版画のような文字になります。細い線は消え、裏写りの鏡文字が出てくることがあるので読みにくい紙面になります。「グレー」モードにすると、紙の地色がグレーになったり、ファイルのサイズも大きくなりますが、文字の読みやすくなります。文字認識をしませんので、解像度は300dpiにしても不都合はありません。スキャンが終ると、PDFファイルとして保存します。 古文書の解読には大きな文字のテキストを使うべきです。文字が小さいと疲れるだけでなく、誤読も多いような気がします。PDFのテキストは簡単に拡大表示ができます。大きく表示したテキストをもとに解読作業をすすめています。プリントした物が必要ならA3版に拡大コピーすることもあります。 活字本のスキャンは、「読んde!ココ」を使って文字認識をさせます。ドキュメントスキャナー「Scan Snap」を使うと早く処理できて便利ですが、本の背を切り落し解体する(シートにする)必要があるので使えないことがあります。そのときはフラットベッドスキャナー GT-8300UF の出番です。「Scan Snap」には「グレー」モードがないので、古文書のスキャンには使えません。 この場合、本が厚いとページをめくるだけでも大変な作業になります。ガラスのステージに本が伏せてあるので、ページをめくるには本を裏返しにしなければなりません。薄い本なら持ち上げて片手に乗せることもできますが、厚い本は持ち上げるのが大変です。そこで、持上げないで、本の天を回転軸にしてステージの上で転がします。ページをめくると、また回転してガラス面にあてます。 ページめくりは、「指サック」を使い、紙が逃げるのを左手で押えて、紙の断面に指先の腹を引っかけます。 製本は面倒な仕事ですが、避けて通れません。以下は「手抜き製本」の手順です。 一番簡単な製本は「針金綴じ」です。ホチキスでガチャンとやり、表紙でもつけると完成です。丈夫なできばえですが、器具が要ります。1cmを越える厚いものは、表裏から針を打込んでも綴じられません。一番困るのは、頁を開いても勝手に閉じてしまうことです。ホットメルトを使った無線綴じ(第14話参照)でも同様で、使い物になりません。 木工用ボンドを使って背を固めると開き具合の良い「本」ができます。 背の補強用の紙は和紙に限ります。和紙の代りに厚紙で固めると開きの悪いものになります。和紙の上にペンでタイトルを記入します。これで終りです。表紙はなくても困りません。もどうしても表紙が必要なら、「水平開き表紙」(第14話参照)にします。函を作れば、表紙代りになります。(横長の本でも函に入れると、縦長の本に変身し、本棚にうまく納ります。下の写真のように、本の背だけを包む大きさの函でも可)。 |
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