パソコンと古文書解読

第17話 データのバックアップ

 

「パソコンはいかに素晴しいものか」について、今まで色々とお話をしてきました。
そういう私も、実はパソコンを信用していません。
すばしっこいけれども、どこか胡散臭いところのあるものだと思っています。

ある証券会社が、電通株の取引で、「61万円で16株」とするはずの売り注文を、「16円で61万株」と誤入力をして、市場が混乱するということがありました。「誤って入力した人間が不注意なためで、コンピュータは忠実に実行したまで」、といえばその通りですが、そのようなミスを誘う何かが、コンピュータにあるような気がします。消しゴムを使って字を消すのなら、実感を伴って作業が進みますが、つい不注意で「Delete」キーを押しただけなのに、ファイルが消えてしまうのは納得がいきません。(ゴミ箱があって助かりますが……)。逆に、ソフトを終えようとすると、「本当に終了しますか?」と念を押されるのも不愉快です。以前は「不正な操作をしたため、強制終了します」という表示がよく出て、機械を相手に「この野郎!」と憤慨したこともありました。時々ミスをする人間を陰で見守ってくれるソフトができないと、「凄いけれども、付き合いにくい奴」という評価は変らないでしょう。

どうにも我慢できないのが、ハードディスクの故障です。2500ページ以上もある本をOCRで読みとり、4か月もかけて誤変換を訂正し、「もうすぐ完成」というとき、急にハードディスクが故障して、読みとれなくなりました。できあがったらバックアップを取っておこうと思っていたのに……。当分の間、パソコンのスイッチを入れる元気もなくなりました。
ハードディスクの破損で最も被害を受けるのは、長い間作り貯めた「My Documents」です。OSやソフトは1日もかければ再度インストールして、設定もやり直すことができますが、消えた私の文書などは回復しようもありません。一番故障しやすいハードディスクに、一番大切な文書を預けている! 

データのバックアップの一番簡単な方法はフロッピーディスクに保存することです。この欠点は、保存に時間がかかること、大きなサイズのファイルを一度に入れにくいこと、フロッピーの数が増えて整理に困ること、などです。
データの書き込みができる
CDR(データ記録容量は650MB。書き込みにはCD-Rドライブと書き込み用のソフトが必要)に保存すれば大安心ですが、気分的に面倒で、気軽に書き込むというわけにはいきません。

面倒なことは長続きしません。実用的な方法はハードディスクへ保存することです。ただし、ハードディスクの信頼性は高くありません。そこで、もう一つのデータ専用のハードディスクを増設(できれば内蔵)して、データはいつもこれに保存します。そして、従来のハードディスクにも「My Documents」ホルダーを作り、ここにバックアップします。データが2つのハードディスクの置いてあるので、片方のハードディスクが壊れても、片方が残っています。同時に両方とも壊れる可能性は低いと考えています。

ハードディスク間のコピーには、フリーソフトcopix 簡単バックアップツール」を使っています。特定のホルダーの中から、変更したものだけがコピーされます。私は、「My Documents」全体と、その中の「Text」だけの2種類のコピーを使い分けています。簡単ですから、面倒がらすにバックアップすることができます。

ハードディスクの増設が難しいようなら、ハードディスクの領域を2つに分けて、Cドライブにはソフトを、Dドライブにはデータを入れる方法も考えられます。Windowsの不具合により、Cドライブをフォーマットする必要があっても、データの置いてあるDドライブは安全です。もっとも、ハードディスクが壊れると、「万事休す」ことになります。

無料で使える「Internet Disc」も役立ちます。どれを使うにしろ、複数のバックアップの態勢が必要です。

20年以前は、データをカセットテープに保存していたのを思い出します。その後、色々な記憶装置が出てきました。この後、次々に変っていくことでしょう。LPレコードに代ってCDが登場し、LPを聞きたいと思っても聞くことが難しくなったように、CDRに保存していても、読めなくなる時がすぐ来ると思います。1000年を越えてデータを残している「紙は偉い」。

ここまでは「My Documents」のバックアップの話でした。これ以外にも消えては困るデータがあります。
メールアドレスです。「スミマセン。消えました。教えて下さい。」と電話するかと思うと、ぞっとします。これはプリントアウトしておくか、「パソコンノート」に書いておくべきです。

話が脇道に逸れますが、「パソコンノート」は絶対必要です。勉強のためのノートではありません。備忘のためのノートです。「パスワード」など、メモ用紙に書いておくと必要なときに絶対見つかりません。大切なメモは大切にしまい込むので、どこにしまったか忘れます。「シマッタ!」と思っても駄目です。1冊のノートなら本棚に置いてすぐ出せます。
また、脇道ですが、『「超」整理法』(野口悠紀雄)は「
電子業務日誌」を勧めています。エディタで日誌をつけることです。日誌なら日付は不可欠ですが、これは、Atokツールバーの「クリックパレット」に「今日の日付」ボタンがあるので、簡単に入力できます。WZ Editorにも「日付」の「挿入」機能を「キーカスタマイズ」して使うと便利です。
「日誌」というより「
メモ帳」と考えて、特記事項があれば簡単な記録を残します。引越しの連絡があれば新住所を書いておくと、後になって「あの葉書はどこに……」と探し回らなくても済みます。名前で検索すれば住所はすぐ見つけられます。コピーした事柄を保存したり……。読んだ本で感心した一節を書き留めたり。
このファイルのショートカットを作り、「
クイック起動」に置くと、いつでも利用できます。

メールアドレス以外のメールデータも別に保存しておきたい。私はメーラーとして「Syuriken」を使っていますが、簡単にバックアップできるようになっています。

外字ファイルも保存します。「外字ファイル バックアップ」で検索すると、丁寧なHPがでます。
Atokの
登録単語も宝物です。「辞書ユーティリティー」を動かし、登録単語の「一覧出力」をしておきます。
「Internet Explorer」の「
お気に入り」も時間をかけて作り上げたものです。「スタート」→「検索」→「ファイルやホルダー」画面で「favorites」で検索すると「Documents & Setting\自分名」の中にあるので、ホルダーごと保存します。

余談。苦心の末、故障したハードディスクからデータを取りだすことに成功しました。Windowsから認識されなくなったハードディスクも、MS-DOSでは認識することができましたので、「Copy」コマンドを使って、別のハードディスクに移すことができました。

 

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