パソコンと古文書解読

第9話 漢文の入力と表記

古文書には割書(本文の途中に二行に小さく書き加えるられた注。)が多くみられます。
エディタでは割書ができませんので、( )の中に1行で入れて、割書の積りで読みます。
ワープロ(一太郎)では( )内の割書部分を範囲指定して、「挿入」→「脚注・割注」で処理します。「体裁」画面で「ベース位置(行を揃える基準線)を「行中」にしておきます。割書部分の文字が小さいようならポイントを大きくします。これは強力な機能です。

「々」・「ゝ」・「〃」などの繰返し符号(踊り字)は、第6話でお話ししたとおり、「Atok文字パレット」の「記号…」→「点」にあります。縦長の「く」の字の延びたような繰返し符号も「順仮名・漢字」にあります。

次は漢文の入力と表記の問題で、もっとも厄介な問題です。
たとえば、『史記』などの有名な文章なら、自分でタイピングしなくても、インターネットで探すと、見つける事ができます。
本になっているものは、活字をスキャナーで読み取り、OCRソフトで文字化します。

漢文は旧漢字で表記されることが多いようですが、私は、電子辞書(漢字源)を使うために、新字体を使います。旧字体の文章をコピーして、「漢字変換道具 [JavaApplet版]」のサイトで「繁体字→新字体」変換をします。Unicode漢字でもOKです。変換が済めば元の文書に取り込みます。

出来合いの文章がないのなら、仕方がありません、一文字一文字を「積重ねる」作業になります。

漢文は当然、漢字ばかりです。しかも読むのにも困るような漢字が多く出てきます。変換できる熟語は少なく、ほとんどが単漢字の羅列です。
単漢字の入力は、「かな」を「漢字」に変換しても、「候補」が多すぎて、本当に困ります。そこでしかたなく、2字熟語を打込んで、不用の1文字を消す作業になります。一文字ずつ積重ねる大変な作業です。
読めない漢字を1字入力するのに最適な道具があります。「手書き文字入力」です。1文字を手書して、その都度、変換しますので(1文字しか入力できないので)、漢文の入力に最適です。少しくらい誤字を書いても、それらしい文字の候補が多数表示され、そこから選ぶので、好都合です。

漢文の入力よりもっと面倒なのは、訓読文の表記です。
漢文の訓読文には「返り点」「送り仮名」「句読点」が付いています。
私はエディタで原稿を作り、それをワープロに読み込んでから、一括して漢文らしい体裁にして、印刷します。

一太郎なら、「レ」を下付文字にすると簡単に「レ点」になりますが、テキストファイルにはその機能はありません。
また一太郎では、下付文字の「レ」はコピー・張付はできても、下付文字の置換はできません。つまり、一括処理はできません。

エディタでは、「レ点」を「」で代用します。一太郎で読込んだ「」を、「置換(文字→飾り)」機能で6ポイントに小さくして、行の左に寄せます(シフト-70%)。つぎは、「r」を「レ」に「置換(文字→文字)」します。「一・二点」は、エディタでは「@・A」で代用し、一太郎では同様に置換機能を使います。この方法なら一括処理ができます。合符付の「二点」は、処理した小さい「二」にアンダーラインを付けます(一括処理はできません)。

「」(一とレ)は外字で作っておくと、「r」と同じ処理ができます。
「」(一と読点)も外字を作ります。「一」の長さを短く作ります。これを、シフト-20%で
「置換(文字→飾り)」します。

送り仮名は、「一太郎」の「ふりがな」設定で代用します。
さきに入力していた送り仮名の部分を「切り取り」、カナを送りたい漢字を範囲指定して、「書式」→「ふりがな」→「設定」画面で、「ふりがな」欄に貼付けして、「文字位置」を「左詰め」に指定して「OK」します。
本文に半角スペースを挿入したり、「ふりがな」欄にスペースを入れて、体裁を整える必要があります。

 

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